こんにちは、高橋ソマリ(@somari01)です☺️
今回は「脚本家になる方法」として、プロになる主なルートをいくつか紹介していきます。脚本家(シナリオライター)といっても、主にドラマや映画の脚本を担当するライターのことです。
「脚本家になりたい!」と思っても、脚本家ってあまり表舞台に出ない職業なので「どうやってプロになるの?」という点が分かりにくいですよね。
そんな初心者の方向けに、
- プロの脚本家になるためのいくつかのルート
- プロの脚本家になるための条件
といった点を分かりやすく書いていきます(^ ^)
プロの脚本家(シナリオライター)になる具体的な4つの方法
【1】シナリオコンクールで受賞してプロデビュー!
まず、誰もが無条件で挑戦できるのがシナリオコンクールです。
コンクール受賞を目指すルートは最も王道かつプロ輩出実績があり、プロの脚本家を目指している人の多くがコンクールに挑戦しています。
シナリオコンクールは、大小合わせれば年間で数えきれないほどあります。ドラマ脚本のコンクール、映画脚本のコンクール、ラジオドラマのコンクールなど多種多様にあります。
ただ、応募者が数百人程度のマイナーコンクールだと、たとえ受賞してもプロに繋がるようなチャンスはなかなかないのが実情です……😭
では、プロの脚本家になるためにはどのコンクールに挑戦すべきか?
答えはずばり「民放テレビ局のシナリオコンクール」です💡
もう少し具体的に言うと、
- フジテレビ(ヤングシナリオ大賞)
- テレ朝(テレビ朝日新人シナリオ大賞)
- TBS(TBS連ドラ・シナリオ大賞)
この3大コンクールに的を絞りましょう!(各コンクールの詳細は後述します)
個人的な意見ですが、プロデビュー目当てなら正直この3大コンクール以外にあまり時間を割かなくていいかと思います。
中途半端に大小アレコレと片っ端からコンクールに手を出すと、応募作品が全部中途半端になります。なので、最初から3コンクールに本命を絞って、1作品を数ヶ月かけて本気で練り上げ、”最高傑作”と言える応募作品を提出したほうが良いです。
それでも、コンクール受賞の壁は、はっきり言ってとてつもなく高いです。
テレビ局のシナリオ大賞には毎回1000人を超える応募者が殺到します。その中で受賞できるのは大賞・佳作合わせて概ね3〜4人程度しかいません。単純な倍率で言えば250〜300倍くらいです( ゚д゚)
250〜300人中の1人に選ばれる実力と運が必要になります。そして、その倍率を突破して受賞できたとしても、必ずしもプロになれるとは限りません。むしろ悲しい現実ですが、過去の受賞者を見てもプロになれなかった人の方が圧倒的に多いくらいです。
さらに言えば、プロデビューしてから第一線で活躍して長く食べていけるのは、その中のさらに一握りです。
それくらい、プロの脚本家になる(そして食べていく)のは難しい道のりなのです。
というのは覚悟の上!
プロになるべく狙いたい3大コンクールについて簡単に紹介しておきます。
本命!フジテレビヤングシナリオ大賞
コンクール概要
フジテレビヤングシナリオ大賞(略称・ヤンシナ)は、最も歴史あるシナリオコンクールかつ、間違いなく最も多くのプロ脚本家を輩出しているコンクールです。
上記の過去受賞者の一部を見ても、ヤンシナからデビューして人気脚本家になっている例は数知れず。受賞者にデビューのチャンスを与えてくれる率としては、ヤンシナは他局のコンクールと比べても頭一つ二つ抜けています。
つまり、コンクールからプロデビューを目指す人にとって、ヤンシナこそ本命です。
審査はフジテレビのプロデューサーやディレクターが直接行います。受賞に至らなくても、最終選考で審査員の目にとまって個別に仕事のチャンスをもらえる可能性もあり、最終選考からプロデビューに至った人もいます。
また、ヤンシナは1人で複数本の応募が可能な唯一のテレビ局コンクールです。
そのため、数打ちゃ当たる作戦で、1年間の創作を全てヤンシナのためだけに費やすコンクーラーもいるほどです。
デビューできる確率がダントツ一番高いのは間違いなくヤンシナなので、コンクールを目指す人はヤンシナに全力投球の姿勢で頑張りましょう👍
テレビ朝日新人シナリオ大賞
コンクール概要
- 【募集内容】
→テレビドラマ部門:100枚以内のオリジナル脚本(20×20用紙)
→配信ドラマ部門:25〜50枚以内のオリジナル脚本(20×20用紙)
(※年によって作品テーマの指定あり) - 【応募時期】毎年11月下旬ごろ
- 【応募資格】誰でも可
- 【賞金】大賞(1遍 映像化あり)500万円/佳作(数編)100万円
- 【プロで活躍する過去受賞者】古沢良太/坂口理子/戸田幸宏/ほか(敬称略)
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/shinjin/
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
テレ朝新人シナリオ大賞も、ヤンシナと並んで歴史のあるテレビ局コンクールですね。大人気脚本家の古沢良太さんを輩出したコンクールとしても有名です。
また特徴として、最終選考は井上由美子、岡田惠和、両沢和幸という大御所の脚本家が担当するのが恒例です。プロデューサーやディレクターだけでなく、同じ目線である脚本家が審査するという点で他局コンクールと差別化していますね。
ただ正直、テレ朝新人シナリオ大賞は受賞者のプロデビュー率が低いです……😢
ウィキペディアで過去の受賞者を見ても分かりますが、歴代受賞者のうち現在も一線で活躍している脚本家は少なく、デビューにすら至っていない受賞者もかなり多いです。
大賞になれば賞金500万円+映像化もされるので挑戦するメリットは十分にありますが、プロデビューするという点では他局コンクールに比較すると弱いイメージです。
TBS連ドラ・シナリオ大賞
コンクール概要
- 【募集内容】オリジナル連続ドラマ第1話の脚本と全10話分のあらすじ(テーマ自由)
- 【応募時期】不定期開催
- 【応募資格】誰でも可
- 【賞金】大賞200万(映像化あり)/最終選考者は勉強会あり
- 【プロで活躍する過去受賞者】牧野圭祐/真野勝成/土橋章宏/大北はるか/ほか(敬称略)
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/rendora-scenario/
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
TBS連ドラ・シナリオ大賞は、3大コンクールの中では最も新しいコンクールです。しかも毎年開催されるわけではなく、開催されない年もあります(2009年〜2019年まで6回開催)。
TBSの特徴としては「連ドラの1話目の脚本+全10話分のあらすじ」という特殊な募集内容です。
他局コンクールは1時間〜2時間ドラマ想定ですが、TBSだけは全10話の連ドラを想定して作品を練らなくてはなりません。となると、作品の規模もある程度スケールのあるものを作る必要があります。
受賞者のデビュー率でいうと、ヤンシナに次いで実績が高いです。
さらにTBSの特徴として、最終選考に残ったメンバーは無料で局主催の勉強会に参加することができます。
ここでプロット書きや短編シナリオなど仕事のチャンスを与えられるので、プロデューサーやディレクターの目に止まればデビューのチャンスにありつけます。
毎年開催ではないのが残念ですが、開催されるときは全力で応募しておきたいコンクールです。
【2】シナリオスクールに通い、下積み仕事からチャンスを掴む
シナリオセンターに代表されるシナリオスクールには、ドラマや映画を始めとする様々な業界からライター募集の案件が下りてきます。
もちろん、いきなり脚本が書けるような美味しい仕事ではなく、企画募集やプロット書きのような下仕事がほとんどです。
でもこうした下積みの仕事からプロデューサーやディレクターと出会い、気に入ってもらい、継続的に仕事がもらえるようになり、いずれ脚本デビューに繋がる……というパターンは多いにあります。
とくにゲームシナリオは、企画からシナリオまで書かせてもらえるケースが結構多く、実績に繋がりやすいのでおすすめです。
ただ、多くの人は何となくゲームシナリオを毛嫌いしていますが……(笑)
シナリオセンターでは、こうした業界からのライター募集案件を生徒に卸す「ライターズバンク」という仕組みがあります。ライターズバンクに登録しているライター達には定期的に仕事募集依頼が来るので、積極的に応募することで仕事を掴むチャンスが広がります。
ライターズバンクは誰でも登録できるわけではなく、登録条件として以下どちらかを満たす必要があります。
- シナリオセンターの最上位クラス「作家集団」に在籍
- 何らかのコンクールで受賞歴がある
コンクール受賞条件はマイナーコンクールでもOKです。そうは言っても誰でも受賞できるわけじゃないので、自信がない人はシナリオセンターにしっかり通いつめて作家集団クラスに上がるのが一番確実ですね。
ライターズバンクについては詳細は下記の公式サイトをチェックしてください。
【3】脚本家事務所に所属する
完全な初心者ライターにはちょっとハードル高いですが、作家事務所に所属するというルートもあります。タレント事務所のように事務所経由で仕事が入ってくるので、チャンスは無数にあります。
新人の頃は企画書やプロットなど下仕事が大半ですが、経験を積めばやがてシナリオデビューすることも夢はありません。
コンクール受賞ルートを除くと、一番プロになれる確率が高そうなのが事務所所属ルートですね💡
脚本家の事務所に所属する方法は、各事務所が募集している「所属作家募集」に応募するのが一番です。オリジナルシナリオだったりプロットだったりを送って審査を受けるカタチですね。
中には一般募集の窓口を開いていない事務所もあります。こうしたところは完全に業界のコネ・ツテ経由でしか入れないので、駆け出しライターにはハードルが高いです。駆け出しであれば一般募集している事務所を狙いましょう。
有名どころの作家事務所や、所属ライター募集情報は下記記事にまとめているので参考にしてください☺️
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【4】演劇・放送作家・芸人など近い別業種から脚本家に転身する
最後は若干特殊ですが、演劇業界や放送作家あるいは芸人から脚本家になったという人が結構多くいます。
朝ドラ「とと姉ちゃん」やアニメ「タイガー&バニー」の脚本家・西田征史さんも元々はお笑い芸人です。その後に舞台の演出・脚本をやるようになり、それがプロデューサーの目にとまりシナリオの世界へ転身というルート。
テレビドラマの第一線で活躍する森ハヤシさんも元々コントグループやってた人ですし、第3のバナナマンとも言われるオークラさんは本職・放送作家ですが映画やドラマ脚本も多数手がけています。
バカリズムさんに関してはもう言うまでもありませんね。
かといって脚本家を目指すためにお笑い芸人!というのは違いますが、シナリオコンクールなど真正面から攻めるのが厳しい場合は、まず演劇(小劇団など)の世界に入ってみて、演劇脚本の実績を積んでから映画・ドラマの世界に転身するというのは現実的だと思います。
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プロの脚本家になれる条件ってあるの?
「必要条件」とまでは言わないものの、こうであると望ましいという「有利ポイント/不利ポイント」みたいなものは暗黙のうちにあります。
【1】時間の融通がきく人が望ましい/会社員はやや不利
脚本家の仕事は、プロのシナリオ執筆〜下積みの企画書・プロット仕事まで含めて、時間の融通が効く人でないとなかなか難しいです。
例えば、急に入ってくる打ち合わせに対応したり、タイトな締め切り(打ち合わせ終了から中2〜3日でプロット書けとかザラ)で原稿を書いたりしないといけません。仕事相手はプロデューサー(会社員)なので、打ち合わせも平日昼間に多く行われます。
この時点で、会社員をしながら脚本家(あるいは下積みライター)として「副業」するのはなかなか厳しいです。
そして残念なことに、テレビ業界というのはとにかく慌ただしく仕事が動くので、急な呼び出しや急な仕事に対応できないと中々やっていけません……(T ^ T)
【2】地方にいると厳しい
脚本家の仕事は、執筆が半分、もう半分は打ち合わせといっていいくらい打ち合わせが頻繁にあります。
場所は大体がテレビ局や制作会社で、プロデューサー側に脚本家が出向いて打ち合わせになります。漫画家のように編集者がわざわざ作家の自宅に来てくれるなんてことはありません。
そのため、都内での頻繁な打ち合わせに対応できないと脚本家の仕事をこなすのは厳しいです。プロデューサー側も、密な打ち合わせが必要な仕事を地方在住のライターに依頼することはそうありません。
プロットレベルの仕事でも打ち合わせは多くなってくるので、定期的にプロット仕事が舞い込むくらいになったら地方在住の方は上京した方が間違いなく有利にはなります。
まとめ
プロの脚本家(シナリオライター)になるのは、競争率でいうと非常に狭き門であることは間違いありません。本気で目指すならば、それなりの覚悟が必要になると思います。
それでも、脚本家という仕事にはそれだけの夢とやりがいがあるとも思っています。
この記事が、脚本家を目指す人のなにか参考になれば幸いです☺️
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