シナリオ・脚本論

【脚本家は才能ですか?】構成は努力、セリフは才能について私の考えること

こんにちは、高橋ソマリです☺️

作家やクリエイターを目指している人は、必ず「才能」という言葉に悩まされると思います。

高橋ソマリ
作家って、結局は才能なんじゃないか?

そして・・・

私には、才能がないんじゃないか・・・?

あるあるですよね。

じつは私も、20歳そこそこの時にプロの脚本家を目指すことを真剣に考えたこともありましたが、”プロとして脚本1本で食べていけるだけの才能はない”と判断して現実的な就職の道をとった過去があります・・・😢

(副業としてちょっとしたお仕事をしていたことはありますが)

まぁ私の話はいいとして(笑)

今回は、「脚本家って才能なのか?」という問題について私なりの考えを書いていきたいと思います。

 

脚本家は「構成は努力、セリフは才能」と言われる

シナリオ

脚本家の業界では「構成は努力、セリフは才能」ということがよく言われます。

ストーリーの構成力(プロットの部分ですね)は勉強と経験によって身につく”スキル”だけど、セリフだけはセンスであり才能だと。

この点に関して私は「全くもってその通りだ」と感じています。

ストーリー構成には、ある程度の「型」や「法則」があるので習得ができる

まず「構成力は勉強で身につくスキルである」という点について、これは同意できます。

なぜなら「売れるストーリー」には、ある程度パターンや法則というものが存在しているからです。

「ベタな展開」とよく言いますよね。それも「人の感情を動かしやすい王道パターン」として昔々の物語から現代まで使われ続けているわけですね。

この「売れるストーリーの法則」が世界一高度に研究されているのがハリウッドです。映画産業の中心であるハリウッドでは昔からストーリー作りというものが徹底的に研究されていて、すでにかなりのレベルで「売れるストーリーの黄金法則」が確立されています。

私はシナリオの勉強をしていた頃に、ハリウッドの脚本術を徹底して調べていたのですが、確かに大ヒットしているハリウッド作品は同じようなルール・法則に沿ったストーリー構成になっているのが分かるんです!

高橋ソマリ
とくに王道映画を作らせたら世界一と評される「ピクサー作品」は、この法則が徹底されて作られています。ハリウッド脚本術の集大成であり教科書と言っていいですね

ハリウッド脚本の法則が学べるシナリオ本については、下記の記事に書いているのでそちら参考にしてみてください💡

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ここで言いたいことは、「売れるストーリー構成」については(ある程度は)型や法則があるので、構成力については身につけられるスキルだと言うことです。

高橋ソマリ
ストーリー能力については天才とされる漫画家・富樫義博先生(ハンターハンターや幽遊白書の作家)も、ストーリー作りはハリウッドの脚本術から学んだと公言されています

セリフ(キャラ作り)は才能・センスがものを言う

セリフに関しては圧倒的にセンス・才能だと言われています。セリフはキャラ作りの主成分にもなるので、もっと広くいうとキャラ作りまで含めてセンスと言われますね。

脚本におけるセリフというのは小説でいう「文才」に近くて、こればかりは勉強したところでなかなか身につくものではありません。

私もセリフが上手くなりたい!と色々な作家を参考にしていましたが、頑張れば頑張るほど「カッコいいセリフ・凝ったセリフを言わせたくて必死」みたいな感じになってしまうのがオチでした・・・😢

高橋ソマリ
本当にセンスがある人って、口から自然とこぼれる言葉がキラリと光ったり鋭かったりするんですよね。セリフのセンスについて私は敗北感しかありませんでした・・・

ちなみに、私が個人的に「セリフうまいな〜」と憧れる作家さんは、

まず脚本家だと古沢良太さんですね。知らない人いないと思いますが、リーガルハイとかの脚本家です。

まさにリーガルハイ見れば分かりますが、堺雅人扮する古美門のキャラ・セリフ回しは古沢さんのセンスの塊であり、私がどれだけ脚本の勉強をしても書けませんもの・・・。

(未だ語り継がれる9話の名言シーンの動画。堺雅人さんの超・長ゼリフが胸に刺さります😭)

 

あとは、セリフが上手いなーと思う作家は漫画家さんが多いですよね。思えば私が好きな名言って漫画が多いです。

セリフが上手いと思う漫画家さん


  • 浅野いにお(おやすみプンプン、ソラニン)
  • 諫山創(進撃の巨人)
  • 貴家 悠(テラフォーマーズ)
  • 日向武史(あひるの空)
  • 冨樫義博(ハンターハンター)

これらの漫画家さんは名言や心に残るセリフが多いのはもちろんですが、普通の会話でもシャレてたりセンスが光ってるので嫉妬です。

©︎テラフォーマーズ

テラフォーマーズの貴家悠先生(原作担当)はデビュー作です。デビュー前に漫画を出版社に持ち込んだ時に、ストーリーは微妙だけど「セリフに光るものがある」ということで編集者に引っ張り上げられました💡

高橋ソマリ
みなさん「名言」というよりも、妙に心に残るセリフをたくさん書かれるんですよねぇ( ´∀`)

 

作家には「構成力(プロット)で魅せるタイプ」と「表現力で魅せるタイプ」の2種類ある

「セリフは才能である」と言われると、セリフの才能がない=脚本家に向いていないと思う人も多いですが、私はそれは違うと思っています。

以下は私の持論ですが、大きく分けると作家には3タイプがいます。

  1. 「構成力(プロット)」が優れた作家
  2. 「表現力(描写力)」が優れた作家
  3. その両方が優れた作家

結論から言うと、後天的に身につけられるスキルで目指すべきは1の「構成力(プロット)が優れた作家」だと思っています。

1. 構成力(プロット)が上手い作家の例

このタイプは、簡単に言うと「あらすじ聞いただけで面白いストーリー」が書ける作家さんのことです。例えば小説であれば、本の裏のあらすじ読んだだけで買いたくなるのがこのタイプ。

セリフなど細かい描写よりも、ストーリーのアイディア、展開力、トリックなどプロットレベルで勝負します。ミステリーやサスペンス系が主な仕事場ですね。

個人的には、このタイプでトップにいるのが東野圭吾さんです。

東野圭吾さんの作品は文才が凄かったりセリフや名言が多かったりするわけではないですが、純粋に「ストーリー展開」が面白いです。あらすじ聞いただけでワクワクしちゃう代表作家さんですね。

あとは、「リアル鬼ごっこ」で一躍売れっ子作家になった山田悠介さんもこのタイプ。文章力はむしろ酷評されることも多いですが、その類まれな発想力で斬新なストーリーを次々と生み出して人気を博していますよね。

もう一人、万能鑑定士Qなどの人気作を次々生み出している松岡圭祐さんもこのタイプ。

万能鑑定士Qはわりとキャラ作りもラノベチックにベタベタで、ウィットに富んだ会話があるわけでもない。なのになぜ面白いかというと、ストーリーの展開が「売れるストーリーの法則」にバチっとハマってるんです。

万能鑑定士Qシリーズ読むと、どの巻もストーリー展開の仕方にはなんとなく規則性があるのが分かります。

高橋ソマリ
前述しましたが、ストーリー構成についてはある程度「王道のパターン」というのが確立されているので、プロットレベルでの構成力を極めることで「売れる作家」になれるかもしれません٩( 'ω' )و

2. 表現力(描写力)が優れた作家の例

このタイプは簡単に言うと「なんでもない日常の話を書いても、表現力や描写力で魅せるタイプ」です。

このタイプの作家は、日常を描くのがとても上手いです。まさにセリフが上手かったり、情景や心情を描写する文才が素晴らしかったりする作家で天性・センスによるところが大きいです。

個人的に、このタイプは綿矢りささんが思い浮かびます💡

綿矢りささんの作品は、ストーリーのあらすじだけ聞くと大きな展開やワクワク感があるわけではありません。しかし、とにかく描写力(平たく言うと文才)が優れていて、情景の描写や、小さく揺れる心の機敏を巧みに文章にします。

芥川賞を取った「蹴りたい背中」の冒頭の「さびしさは鳴る」なんて表現は、初めてみたとき驚きましたよね。

さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。細長く、細長く。紙を裂く耳障りな音は、孤独の音を消してくれる。気怠げに見せてくれたりもするしね。

(引用:蹴りたい背中より)

ただ、この手の日常系作家の原作を映像化すると大体は失敗します。この手の作家のウリは「日常や心情を巧みに描写する文章力」であり、映像化するとそれら全て「画」に映らないからです。

つまり「ストーリー(プロット)に動きがない」ので、映画やドラマには不向きなんですよね。だから、前述したプロットで動かすタイプの作品が多いミステリーやサスペンス系が映像化されやすいわけです。

3. プロットも描写力も優れた作家の例

数少ないですが、ストーリー(プロット)自体も面白いし、その中での描写力(文才)も素晴らしい超人作家さんもいます。

個人的に真っ先に思い浮かぶのが、宮部みゆきさん本多孝好さんですね。

私は宮部みゆきさん大好きなのですが、本当に作家として頂点に君臨するお方だと思っています。

プロットレベルのストーリー力も文句なしに面白いですし、文才もあって細かい描写力・表現力も素晴らしい。宮部さんより「天才だなぁ」と感心する作家さんはいません。

また、宮部さんよりはもっとライトな印象ですが、本多孝好さんもプロット力と表現力のどちらでも魅せる作家さんだと思いますね。

とっても綺麗な文章を書くので日常系のイメージもあるのですが、実はストーリー自体も意外な展開や斬新なアイディアのものが多くて面白いです。

「構成力」と「セリフの才能」、脚本家に求められるのはどっち?

ここまで、売れる作家にも「ストーリー構成力が優れたタイプ」と「表現力が優れたタイプ」がいるというお話をしました。

では、プロデューサーなどから脚本家に求められる力はどちらか? というと、セリフ・キャラが書ける表現力の方だと言う人が多いです。

「脚本家の仕事は、魅力的なキャラ(≒セリフ)を描くこと」とすら言われます。

というのも、ストーリー構成については、脚本家だけじゃなくて監督やプロデューサーなど共同作業で組み立てるケースが多いからなんですよね。だから構成はみんなで考えればいい。でも、キャラ(セリフ)だけは脚本家しか描けないというわけです。

高橋ソマリ
でも……本当にセリフやキャラ造形のセンスがある脚本家ってプロでも少ないと思うんですけどね。。。

それこそキャラ見ただけで誰が脚本書いたか分かるくらいのレベルって、古沢良太さんとか三谷幸喜さんくらいな気がします( ̄∇ ̄)

面白いキャラや優れたセリフが描けるのは最強の武器ですけど、それがプロの脚本家の必須能力かと言われるとそうじゃなくて、あくまでジャンルによるとは思います。

私はミステリーが好きですが、ミステリー系の脚本家は絶対に構成力のほうが大事ですよね。例えばライアーゲームの面白さはセリフのやりとりよりストーリー展開にあるわけで、巧みに入り組んだプロットが書ける力が必要になります。

ライアーゲームの映画はストーリー展開がおもしろいですけど、セリフが上手いなとか1ミリも感じませんからね(失礼 笑)

ライアーゲームは Amazonプライムビデオ で観れます。まだ観てない人はぜひ観てみてください。「セリフが上手くなくても面白い映画は作れる」ことが分かります(笑)。

【公式サイト】https://www.amazon.co.jp/Amazon-Video/

 

※時期によって配信内容が変更される場合があります。

高橋ソマリ
「才能」については書きたいことがありすぎて思いつくまま書いていたら、なんともまとまりのない記事になってしまいました・・・(>_<)

また後日書き直すかもしれません(文才ゼロでつらい 泣)

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