こんにちは、高橋ソマリ(@somari01)です☺️
「プロの脚本家になる4つの方法」という記事でも書きましたが、脚本家になる方法として最も王道なのが”シナリオコンクールで受賞してデビュー”というルートです。
脚本・シナリオコンクールは大小合わせれば年間で数えきれないほど開催されていますが、この記事ではその中でも有名かつ受賞者のプロデビュー実績がある「狙い目のコンクール」をピックアップして紹介していきます。
これからプロの脚本家を目指したい人はもちろん、自分の物書きとしての腕前を試してみたいという人もぜひコンクールに挑戦してみましょう٩( 'ω' )و
現在の最新情報とは異なっている場合もあるので、詳細は必ず公式サイトの情報をチェックしてください。
テレビドラマの脚本・シナリオコンクール
フジテレビヤングシナリオ大賞
コンクール概要
フジテレビヤングシナリオ大賞(略称・ヤンシナ)は、最も歴史あるシナリオコンクールかつ、間違いなく最も多くのプロ脚本家を輩出しているコンクールです。
上記の過去受賞者の一部を見ても、ヤンシナからデビューして人気脚本家になっている例は数知れず。受賞者にデビューのチャンスを与えてくれる率としては、ヤンシナは他局のコンクールと比べても頭一つ二つ抜けています。
つまり、コンクールからプロデビューを目指す人にとって、ヤンシナこそ本命です。
審査はフジテレビのプロデューサーやディレクターが直接行います。受賞に至らなくても、最終選考で審査員の目にとまって個別に仕事のチャンスをもらえる可能性もあり、最終選考からプロデビューに至った人もいます。
また、ヤンシナは1人で複数本の応募が可能な唯一のテレビ局コンクールです。
そのため、数打ちゃ当たる作戦で、1年間の創作を全てヤンシナのためだけに費やすコンクーラーもいるほどです。
デビューできる確率がダントツ一番高いのは間違いなくヤンシナなので、コンクールを目指す人はヤンシナに全力投球の姿勢で頑張りましょう👍
テレビ朝日新人シナリオ大賞
コンクール概要
- 【募集内容】
→テレビドラマ部門:100枚以内のオリジナル脚本(20×20用紙)
→配信ドラマ部門:25〜50枚以内のオリジナル脚本(20×20用紙)
(※年によって作品テーマの指定あり) - 【応募時期】毎年11月下旬ごろ
- 【応募資格】誰でも可
- 【賞金】大賞(1遍 映像化あり)500万円/佳作(数編)100万円
- 【プロで活躍する過去受賞者】古沢良太/坂口理子/戸田幸宏/ほか(敬称略)
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/shinjin/
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
テレ朝新人シナリオ大賞も、ヤンシナと並んで歴史のあるテレビ局コンクールですね。大人気脚本家の古沢良太さんを輩出したコンクールとしても有名です。
また特徴として、最終選考は井上由美子、岡田惠和、両沢和幸という大御所の脚本家が担当するのが恒例です。プロデューサーやディレクターだけでなく、同じ目線である脚本家が審査するという点で他局コンクールと差別化していますね。
ただ正直、テレ朝新人シナリオ大賞は受賞者のプロデビュー率が低いです……😢
ウィキペディアで過去の受賞者を見ても分かりますが、歴代受賞者のうち現在も一線で活躍している脚本家は少なく、デビューにすら至っていない受賞者もかなり多いです。
大賞になれば賞金500万円+映像化もされるので挑戦するメリットは十分にありますが、プロデビューするという点では他局コンクールに比較すると弱いイメージです。
TBS連ドラ・シナリオ大賞
コンクール概要
- 【募集内容】オリジナル連続ドラマ第1話の脚本と全10話分のあらすじ(テーマ自由)
- 【応募時期】不定期開催
- 【応募資格】誰でも可
- 【賞金】大賞200万(映像化あり)/最終選考者は勉強会あり
- 【プロで活躍する過去受賞者】牧野圭祐/真野勝成/土橋章宏/大北はるか/ほか(敬称略)
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/rendora-scenario/
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
TBS連ドラ・シナリオ大賞は、3大コンクールの中では最も新しいコンクールです。しかも毎年開催されるわけではなく、開催されない年もあります(2009年〜2019年まで6回開催)。
TBSの特徴としては「連ドラの1話目の脚本+全10話分のあらすじ」という特殊な募集内容です。
他局コンクールは1時間〜2時間ドラマ想定ですが、TBSだけは全10話の連ドラを想定して作品を練らなくてはなりません。となると、作品の規模もある程度スケールのあるものを作る必要があります。
受賞者のデビュー率でいうと、ヤンシナに次いで実績が高いです。
さらにTBSの特徴として、最終選考に残ったメンバーは無料で局主催の勉強会に参加することができます。
ここでプロット書きや短編シナリオなど仕事のチャンスを与えられるので、プロデューサーやディレクターの目に止まればデビューのチャンスにありつけます。
毎年開催ではないのが残念ですが、開催されるときは全力で応募しておきたいコンクールです。
創作テレビドラマ大賞(受賞作はNHKで放送)
コンクール概要
- 【募集内容】オリジナル脚本/400字用紙50〜55枚(テーマ自由)
- 【応募時期】毎年1月ごろ
- 【応募資格】誰でも可
- 【賞金】大賞50万円(映像化あり)/佳作10万円
公式サイト:https://www.hosakkyo2012.jp/創作ドラマ大賞-new/
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
創作テレビドラマ大賞は、日本放送作家協会が主催のシナリオコンクールです。大賞作品はNHKにて映像化されることがあり、審査員にはNHKのプロデューサーやディレクターも入っています。
私の勝手なイメージですが、創作テレビドラマ大賞はエンタメ系の攻めた作品よりも、無難で味わいのある作品が好まれる印象です。審査員が高齢の作家協会員だったり、NHKなので視聴者のターゲット年齢が高めだからでしょうか。
また、受賞でデビューに繋がるかというと……正直あまり過去受賞者をみても実績は多くありません。
過去受賞者でプロになっている人もいますが、別のコンクールでも賞を取っているような人ばかりで、創作テレビドラマ大賞で引っ張り上げられたとは言えません。
歴史もあるコンクールなので、応募する余裕があれば挑戦したいところですが、優先度としてはヤンシナなど他のテレビ局コンクールより低いと思っています(賞金も少ないですしね 笑)
Abema TV NEXT CREATOR'S COMPETITION
コンクール概要
- 【募集内容】8話程度のオリジナル脚本を想定し、
→作品企画書 (A4サイズ 1枚)
→あらすじ (A4サイズ 1枚800文字以内)
→作品情報(A4サイズ 2枚)
→プロット(A4サイズ 10枚) - 【応募時期】不定期
- 【応募資格】誰でも可
- 【賞金】大賞500万円(映像化あり)/優秀賞100万円
公式サイト:https://ncc-scenario.abema.tv/#anchor_01
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
ネットテレビ局である「Abema TV」が新設したシナリオコンクールです。2017年に初めて開催されたばかりなので、今後定期的に行われるのか、1回限りなのかは現時点では不明です。
Abema TVはIT大手のサイバーエージェントが運営していて、勢いもあるし良い意味で既存のテレビ局とは違いがあります。ドラマ制作もオリジナルにこだわっているし、Abema TV自体が大赤字なのにコンテンツ制作に大金を使ったりと、テレビ局ではできない挑戦をしているのはIT企業の良さでしょう。
賞金は大賞500万+ドラマ化、優秀賞数編にも100万円とかなり気合いが入っています。審査員にも宅間 孝行氏や鈴木おさむ氏など現役のクリエイターが集っており、Abemaの「ドラマコンテンツに本気出す」という決意がうかがえますね。
アメリカではすでにNetflixが映像コンテンツの覇権を握っているように、私もドラマなど映像コンテンツはもうテレビ局だけのものでなく、今後はIT企業が勢力を強めてくると予想しています。
Abema TVが日本版Netflixになってくれるかは分かりませんが、脚本家デビューを狙うならAbema TVはとても狙い所だと思いますよ💡
映画の脚本・シナリオコンクール
城戸賞
コンクール概要
- 【募集内容】オリジナル映画脚本(20×40用紙で50〜70枚以内/テーマ自由)
- 【応募時期】毎年8月下旬締め切り
- 【応募資格】劇場用映画の執筆経験が2本以上ある人は応募不可
- 【賞金】入賞者に50万円(映画化されるケースもあり)
公式サイト:http://www.eiren.org/kido/index.html
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
城戸賞は、1974年から続いているかなり歴史のある映画脚本賞です。
映画シナリオ界の「芥川賞」的な存在ではないでしょうか。「城戸賞を取った」と言えば業界内では箔がつきそうです(取ったことないので分かりませんが😅)。
入賞した作品の映画化実績もそこそこあり、近年では「超高速!参勤交代(作:土橋章宏)」や「のぼうの城(作:和田 竜)」が実写映画化されましたね。
……が、受賞者のプロ脚本家デビュー率で見ると、やはりテレビ局主催のドラマコンクールには劣ります。映画が好きで、城戸賞受賞者の肩書きが欲しいなら応募すべきですが、あくまでプロデビュー目的でコンクールを狙うなら、テレビ局コンクールに時間と労力を費やしたいのが正直なところ。
伊参スタジオ映画祭
コンクール概要
- 【募集内容】群馬県の中之条町が舞台のオリジナル映画脚本
→中編の部(30×30用紙で16〜25枚以内/テーマ自由)
→短編の部(30×30用紙で10枚以内/テーマ自由) - 【応募時期】毎年6月下旬ごろ締め切り
- 【応募資格】プロアマ問わず
- 【賞金】
→中編の部大賞に100万円(映画祭での映像化あり)
→短編の部大賞に50万円(映画祭での映像化あり)
公式サイト:https://isama-cinema.jp/index.html
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
伊参スタジオ映画祭は、群馬県の中之条町で毎年行われている地方映画祭です。シナリオ大賞で大賞を取った作品は毎年そこで映像化されて上映されます。
コンクールの規模としてはさほど大きくなく、応募者も200〜300名程度です。それに対して受賞作品数はなんと以下の9作品にも及びます。
- シナリオ大賞(中編・短編 各1作品)
- 審査員奨励賞(5作品)
- 上毛新聞社賞(1作品)
- 伊参スタジオ映画祭スタッフ賞(1作品)
受賞の倍率でいうと30〜40倍程度なので、確率的には非常に受賞しやすいコンクールだと言えます。短編・中編でそれぞれ1作品ずつ応募できますし、とにかくコンクール受賞の実績が欲しい場合は一番狙い目かもしれません。
気をつける点としては、「群馬県の中之条町を舞台とする作品」であることです。田舎舞台で想像だけでシナリオ書く人もいますが、本気の人は中之条町までシナハンに行った方が良さそうですね。
またもう一つ重要なこととして、大賞作品の映像化にはシナリオ応募者本人が制作に携わることになります。簡単にいうと大賞を取ったら自分が監督して映画化するということです。なので本来は脚本家より映画監督向けのコンクールだと言えます。
監督として作品制作まではしたくない……という人は、この点に要注意です。
その際には審査員の方などとちょっとした交流会もあるので、名刺交換など積極的にして自分を営業する良い機会になると思いますよ
函館イルミナシオン映画祭
コンクール概要
- 【募集内容】函館をテーマにしたオリジナル映画脚本(20×20用紙で75〜100枚以内)
- 【応募時期】毎年7月締め切り
- 【応募資格】プロ・アマ問わず(共同脚本可)
- 【賞金】グランプリ1名:100万円(映画化されたケースもあり)/準グランプリ1名:10万円
公式サイト:http://hakodate-illumina.com
※応募内容は年によって変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでチェックしてください。
イルミナシオン映画祭も20年以上続いている有名な函館の映画祭ですね。
シナリオ大賞作品から全国映画化された作品もあって、2009年にV6岡田くんと麻生久美子で映画化された「おと・な・り(作:まなべゆきこ)」は私も観に行った思い出があります😊
大賞取って映画化までされれば箔がつきますが、実績数としてはそこまで多くありません。脚本家デビューに繋がるコンクールかと言われれば微妙なところではあります。
400字用紙100枚以内という量、そして函館舞台ということでシナハンが必要など、なかなか骨の折れるコンクールでもあるため、私は応募したことがありません(笑)。
脚本・シナリオコンクールに対する心構えなど
以上、プロのシナリオライターを目指すなら挑戦したいコンクール情報についてまとめてみました😄
労力的にも時間的にも、全てのコンクールに手当たりしだい応募するのは得策ではありません。いくつかのコンクールに照準を絞って全力投球するのが良いかと思います。
プロの脚本家デビューが目的であれば、やはり最優先に狙うのはテレビ局のシナリオコンクールですね。
とくにフジテレビヤングシナリオ大賞はデビュー実績が桁違いに多く、一人で複数本を応募できるので、本気でプロを狙う人はヤンシナだけに絞って、他のコンクールは見向きもせず1年間ヤンシナ応募作だけを作りまくるような人もいます。
スタンスとしては、テレビ局コンクールに全力投球、落ちた作品などをリライトして他コンクールに出してみるといった方針もいいかもしれません。
コンクール受賞はプロデビューの花形ですが、確率的にはかなり狭き門であり険しい道でもあります。10年以上コンクールに出し続けても受賞はおろか、1次審査さえ通らない……という人がごまんといるのが現実です。
生半可な気持ちではやっていけない「勝負の世界」ですが、プロの脚本家になる最もシンプルなルートなのでぜひぜひ挑戦していきましょう!